2007年10月22日月曜日

プチシアター Vol. 3

プチシアター Vol. 3  鈴の約束~サンタクロースの秘密  
 1998年 フランス 26分 カラー ジャック レミー・ジレール監督 98年エミー賞ノミネート作品。

 吹雪の夜、郵便配達員は森の中で泣いている男の赤ん坊を見つける。孤児院ですくすくと大きくなった男の子チャーリーは、自分の出生の秘密を知りたくてサンタクロースに手紙を書く。チャーリーがクリスマス間近の森で見た光景とは?

 チェコのヨゼフ・パルチェクの作品を思わせる美しい色彩と、嫌味のない磨かれた造形。美術的なセンスの良さに目を奪われます。それに、心温まるエピソード。人間臭くドジ過ぎるサンタが少し気になるけど、生活感のある郵便配達人と孤児院のおばさんのキャラクターが良いですね。郵便が、ちゃんとエピソードに絡んでいます。主人公のかわいい子どもの一途な思いに、心温まり微笑んでしまいます。
子どもたちといっしょに観て、童心を取り戻しましょう!

プチシアター特集

 今回は、プチシアターというネーミングのパッケージで販売されているフランスの優れた短編アニメーションの紹介です。

  プチシアターとは、ヨーロッパの優れた短編映画やアニメーションを収録したDVDシリーズです。そのVOL2、VOL3は、フランスの短編アニメ集で、プチシアターVOL2は、"恋するアニメーション”と題し 「お坊さんと魚」「恋のかけひき」「紙ヒコーキ」「アパートの猫」 の4作品を収録しています。

ディスクパッケージの装丁が素晴らしい。
紙製のハードカバーのおしゃれな絵本仕立てで、お皿(ディスク)がどこかに隠れている仕組み。隅々まで工夫があり、収録した作品を大切にしている姿勢がうかがえるうれしいパッケージです。贈り物としても喜ばれるでしょう。

 企画発売者は、海外の短編アニメーションを日本に紹介し続けているオフィスH(アッシュ)の伊藤裕美さんです。では、収録作品のご紹介です。

「お坊さんと魚」1994年 フランス 6分30秒 カラー 

 魚を捕まえようと日夜の区別も寝食も忘れて、やっきになるお坊さんの姿を描く不思議で素敵な世界。

「岸辺のふたり」マイケル・デュドウ・ドゥ・ヴィッド監督の出世作です。詳しくは、9月に紹介しましたので、そちらをご覧ください。



 面白いことに、次の三作品はいずれも「窓」から始まっていました。個性はまったくちがうのに、ラストもそれぞれがしゃれていて、ほのぼのとした出会いで結ばれています。


「恋かけひき」1994年 フランス 7分50秒 カラー

 世間知らずな男が、退屈な日々をすごしている。男は、家の窓から見える高層ビルの、とある窓によりかかって唄う娘に一目ぼれ。さっそく花束を持って娘の元に出向く。が、途中、さまざまなアクシデントが待っている。男はそれらの困難を乗り越えて、やっとこさ娘の元にたどり着くが、無情にも娘には恋人がいて・・・。




 高層ビルと道路と窓を上手に使用し、人間を疎外する都会のほろ苦くも乾いた人間模様を描いています。恋人の元に向かう男の周辺に、乾いた世相を象徴するような事件があいつぎますが、思いがけないラストが用意されていて、人生は捨てたものではない。多様な出会いと幸せがあることを伝えてくれる作品です。
 作者は、柔らかい単純な線でドラマ上必要最小限なものしか描いていません。それが、かえって観る者の想像力を駆り立てます。
大人の味わい。

「紙ヒコーキ」1995年 フランス 7分 カラー 

 裏町の貧しいアパートにひとり住む若者が、窓越しに悩める孤独な娘を見出した。若者は、娘を励まそうと思い、紙ヒコーキにメッセージを乗せて窓より飛ばす。気まぐれな紙ヒコーキは、目的の窓には向かわず他人の窓に飛び込んでしまう。かまわず、若者は紙ヒコーキを飛ばすが、次々と他の窓に飛び込んでしまう。やっと娘の元へ紙ヒコーキが届き、瞳を輝かせた娘が窓より身を乗り出して送り主を探したとき、近所の窓という窓から人々が見つめ、娘を笑顔で迎える。


 この作品は、木炭調のタッチで裏町のアパートと思われる家々を、しっとりと渋く生活感のある味わいで描いています。
 都会の人々の軽く危うい絆を、これまた軽く危うい紙ヒコーキに託して紡ごうとする若者の行為は、思いがけずも周辺の人々の心に温かい灯を点します。人は群れて生活しながら、他人の干渉を避けて壁の中に閉じこもりがちです。その一方では出会いを心待ちにし、他人の生活に強い関心を持たずには居られぬ矛盾した存在です。作者は、その矛盾の間隙を狙ってこの作品を放ち、観る私たちの心にも灯を点すことに成功しています。
子どもから大人まで楽しめます。

「アパートの猫」 1998年 フランス 7分 カラー
 高層アパートの部屋で退屈な毎日を過ごしている猫は、ときおり窓にやってくる小鳥たちの自由さに憧れている。窓から見える高層ビルの屋上に、緑に覆われた鳥たちのコロニーがある。冷たい主人の目を盗んで脱出し、憧れのコロニーをめざす猫の冒険が始まる。人ごみと自動車のラッシュに目を回しながら、やっとたどり着いたビルの屋上にはなにもない。まちがってとなりのビルに登ってしまったのだ。あきらめない猫の、危険に満ちた冒険が続く。




 まるまると太った猫のとぼけた味がいいです。切り紙のコラージュで構成された背景が、おしゃれな雰囲気をかもしだしています。
万人で楽しめます

★フランスでは「窓」というものになにか特別な意味を持たせているのでしょうか。そういえば私も、毎日「ウィンドウズ」に向かって新しい知識を仕入れたり、文字や絵を記録したりしています。人生にとっての「窓」は新しい世界を知るスクリーンであり、希望へのスタートラインなのでしょうか。そんなことを考えながら観たプチシアターVol.2の三作品でした。

2007年9月19日水曜日

坊さんと魚 625秒 1994 オランダ・仏合作                                監督 マイケル・デュドク・ドウ・ヴィット(オランダ人)                     広島アニメ映画祭ヒロシマ賞
使用曲 アルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli 1653-1713)作曲  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第12番ニ短調「ラ・フォリア(La follia)」[主題と23の変奏]

★魚を捕まえようと、日夜寝食も忘れて、やっきになるお坊さんの姿を描く不思議な世界。「岸辺のふたり」マイケル・デュドウ・ドゥ・ヴィッド監督の出世作。
★ 夢中になる対象と度合いに違いはあるだろうが、すべてを忘れて夢中になれる相手を得たということは、人間だれにでも身に覚えがあることで、とても幸せなことかも知れない。不思議な幸福感に包まれる。
★ やわらかな線で構成された単純な形が、アニメーター(マイケル監督)の緻密な計算によって“動き”を与えられ、実に豊かな表現力を持って楽しませてくれる。アニメーションが“動き=視覚化された音楽(時間)”の表現芸術であることを思い起こさせる傑作。イタリアが生んだ最初のヴァイオリン音楽の巨匠コレッリ(1653-1713)の古典的名曲が、マイケル監督の世界に完全に生まれ変わってしまった。
 “大人の作品”などといわず、子どもたちといっしょに豊かな時間をすごそう。
★ DVD:「プチシアター №2」 販売元:オフィスH 

岸辺のふたり 8分 2000年 オランダ・イギリス合作

監督 マイケル・デュドク・ドウ・ヴィット(オランダ人)
米アカデミー賞、広島アニメ映画祭グランプリ 他多数
音楽監督 ノルマン・ロジェ  ドゥニ・シャルラン
使用曲 ドナウ川の小波(ヨシフ・イヴァノ・ヴィッチ作曲)

★ 自転車でやってきた父と娘、大河の岸辺に立って別れる。以来、娘はおなじ岸辺に繰り返し立って、父を想い老いて行く。たった8分で、めぐり行く人生の重さ、人間の愛情の深さを描ききった名作。
  ヨーロッパの国々は、ドナウ、ライン、エルベなどの大河で国境や言葉や文化を分け、数知れない政争や紛争や戦争を繰り返して来た。その都度、幾多の隣人同士が、家族が、恋人たちが分断され、別れを余儀なくされてきたのであろうか・・・。そんな思いを後に残す8分の大作。

★ 「坊さんと魚」と同じマイケル監督作品。この作品でも、線や形は水墨画のように思いっきり単純化されています。白と黒、その単純化が、観る者の想像力を最大限に引き出すことに成功しています。的確で無駄のない“動き”。たった一本の線で大河の流れを表現し、自転車のこぎ方でこぎ手の年齢を表現しきる才能と技術がものすごいです。

子どもたちにはちょっと難しいかもしれない。なぜ? どうしたの?などの質問があいつぎ出るでしょう。しかし、きっと心に響くはず。

★ DVD:「岸辺の二人」 販売元:東芝EMI㈱


2007年9月15日土曜日

中国の水墨画アニメーション 1

小蝌蚪找媽媽” 「おたまじゃくしがお母さんを探す」  15分 1960  中国

監督 特 偉 1915生まれ、漫画家で抗日漫画宣伝部隊所属。戦後、水墨画アニメの開拓者。1966年から1970年代前半まで続いた文化大革命〔毛沢東らが引き起こした権力闘争〕で苦労したと聞きます。
撮影 段 孝萱

 卵からかえったオタマジャクシたちが、お母さんを求めて池の中を探し歩く。出会った金魚たちは、目玉が大きく、おなかが白い、手足が4本あるのがお前たちのお母さんだという。まだ見ぬ母を探して、オタマジャクシたちの冒険はつづく。
 新生中国の土台である農業と、明日をになう子どもたちへの愛情あふれた名作です。

幼い子どもたちに喜ばれる逸品。保育園や幼稚園で見せたら、笑い声や歓声や拍手が上がることでしょう。

 DVD 上海美術電影作品集vol.1 発売元GENEON

中国の至宝 水
墨画アニメーション
 この作品の主人公であるオタマジャクシは、私たちが池で見かけるそのままの姿、黒い点でしかありません。擬人化されず、顔はなく、ましてアップになってセリフを喋ったりはしません。オタマジャクシたちはただ集団で泳ぐだけですが、その動きが秀逸です。母を見つけたとはしゃぐ様子、まちがいと知ってガッカリする様子など、黒い点でしかないものにみごとに命が吹き込まれ、感情が与えられています。
 金魚の赤い尾ヒレが、にじんで透けて優雅に舞う。オタマジャクシしかり、シッポのみがわずかににじんでぼけています。はたして、このぼかしの技術はどのようなものでしょうか。
 中国の至宝といわれる水墨画アニメは、高度なアニメーション技術と伝統的な水墨画の見事な融合と結晶です。その技術は、いまだ門外不出の秘技とされています。
 硬質なセル画は水を吸い込みません。ゆえに、水墨画調のにじみやぼけ味の表現は不可能と言われてきました。試しに、セルに代えて和紙などに墨や水彩をにじませて描いてみると、にじみはできますが、一枚一枚が不ぞろい(形と濃淡)となり、均質で細やかな動きを表現することはまず不可能なことに気づきます。ところが、中国の水墨画アニメは、このにじみやぼかしを見事にコントロールして細やかで美しい動きを再現しています。奇跡の技術といってよいでしょう。

牧 笛 20分 1963 中国

脚本・監督 特 偉

水墨画アニメの代表作。のどかな田園風景の中で、牛飼いの少年と水牛との心温まる交流を描く。  水牛の背に乗って笛を吹きながら現れた少年は、牛に水浴びをさせて木の上でまどろむ。牛は美しい沼からはなれ大きな滝の下へと行く。目覚めた少年は牛のいないことに気づき、笛を吹いて牛を呼ぶが・・・。



  大気の中で揺れる竹林、省略された空間の中でささやく風と水の音、人も牛も小鳥も、共にその中に生かされて存在する小さな命です。壮大な自然の中で生きるものへの賛歌。水墨画の哲学的世界が、見事なアニメーションとなって再現され、無言のうちに私たちの心を捉えます。
 水墨画のしっとりとした情感と美しい笛の音。魚や小鳥たちのきびきびとした動きのみごとなアンサンブルに、思わず問わずため息が出てしまいます。私たちの忘れてしまった世界がここにあります。
 1988年「琴と少年」(監督 特 偉)の原型といえる作品です。

★この作品は、 1963年に完成するが66年に始まった文化大革命のために世に知られず、文化大革命が終わってから世界に知られて、1980年にアンデルセン賞を受賞します。

セリフや解説がいっさいないので、想像力を働かせて見るには格好の作品です。すべての人々に見て欲しいが、自然のなかで生活し働くことのなくなった現代の子どもたちには、少々むずかしい作品かも知れません。

 DVD 上海美術電影作品集vol.1 発売元GENEON


2007年9月4日火曜日

「毛玉」 10分 1968年 ロシア ニコライ・セルリャコフ

  ★冬の寒日に、ホームレスの老婆が毛玉をまとった子犬を拾う。その恩に、犬は老婆に毛糸を提供し、老婆はその毛糸でセーターを編みあげ、靴を編み上げて温もりを得る。温もりは老婆が忘れていた欲望を芽生えさせ、子犬の毛糸で住居を編み上げ、さらに欲望はとどまることを知らない。やがて事態は思わぬ結果を迎えることに・・・。

人間の欲深さを描き、日本の「つるの恩返し」に似た恐ろしいお話。

★ 絵柄がやさしく幼い子どもたちの興味をひくだろうが、主題は大人の世界である。

 この作品を見るには

 DVD: ロシアアニメーション傑作選3.  発売元 Geneon


「オオカミと子牛」 10分 1984年 ロシア 監督ミハイル・カメネツキー 

オオカミは、エサにするために子牛を盗む。森の仲間は、エサの分け前を期待しているが、オオカミは愛らしい子牛がかわいらしく、しだいに情が移ってしまい、事態はややこしいことになる。

★ ★喰うものと喰われるもの同士に芽生える友情や愛情の物語は良くあるお話だが、悩めるオオカミと無邪気な仔牛の表情やしぐさが面白く、楽しめる。

★ 幼い子どもたちといっしょに見よう。

この作品を見るには

DVD :ロシアアニメーション傑作選3.  発売元 Geneon

2007年8月31日金曜日

「アリの冒険」101986年 ロシア 監督:エドアールド・ナザーロフ 

ザグレブ国際アニメーション映画祭受賞

★ 風に飛ばされた気のやさしい蟻が、さまざまな仲間に助けられながら巣穴に戻るまでのスリルに飛んだ旅。互いに捕食しあう虫たちの世界に、蜘蛛や鳥までが餌を求めて入り乱れる。殺戮と助け合いが共存する虫の世界が、奇妙なおかしみをかもしだす。

★どのようにして撮影したのだろうか。草の間から見上げる美しい太陽が、刻々と沈み行く。虫や風の効果音が虫の世界の臨場感を表出している。虫の目線・・・・草間の影にしゃがんで観察するナザーロフの姿が目に浮かぶ。その姿勢に感動。ときどきはいる虫の声をナザーロフ自身が担当しているそうだが、それはどこだろう。

★6本の足を交互に動かして移動する虫たちの動きは、3コマ撮りのテレビアニメでは表現できない。二コマ撮りか、いや一コマ撮りでないとああも多くの虫たちのリアルな動きは難しいだろう・・・だとすると彼らは何枚の動画を描いたのか・・・・。豊かな国の貧しいアニメーターは、浮かんでは消えるさもしい連想を打ち払いつつ、ナザーロフの虫たちに魅せられる。

幼い子どもたちから、「どうしたの?」「なにがおきたの?」「あの虫はなあに?」などの質問が噴出することまちがいなし。大人は事前に繰り返し見て、ちょっとした解説ができるようにしておこう。

★この作品を見るには                                             DVD:ロシアアニメーション傑作選1. 発売元 Geneon

エドアールド・ナザーロフ 1941年モスクワ生まれ、
1975年「ひとりぼっちのカバ」でデビュー。ノルシュテインと並ぶロシアアニメーション界の巨匠。作品に「お姫様と怪獣」1977年「マルティンコの奇跡」1987年など。

2007年8月30日木曜日

「おもちゃの反乱」 15分 チェコ 1946 監督 ヘルミナ・ティルロバ

★ナチによるチェコ占領時代を回想した作品。

 小さなおもちや工房に進入した横暴な男に、抵抗して戦うおもちやたちの大活躍。人形の世界に実写の人間が侵入するという手法で、ティルロヴァはナチス侵略時代の恐怖と抵抗した人々への共感を際ただせることに成功しています。人形たちの活躍に、思わず拍手。
ヘルミナの作家としての姿勢が、良く理解できる作品です。

★この作品を見るには
VHS:Vol 3 チェコ・アニメーション 発売元 レーザー・ディスク㈱

「結んだハンカチ」15分 チェコ 1958年 監督 ヘルミナ・ティルロバ
★やわらかなハンカチが命を吹き込まれて動き出す。そして、壊れた流しの蛇口が作り出す日常の騒動。女性監督ならではの生活感あふれた作品です。さわやかで、清潔感あふれる楽しさで見せます。「おもちゃに反乱」同様に、こちらにも実写の少年が登場しますが、ハンカチの人形となんの違和感なく見せるヘルミナの技術に感心します。

 そういえば、日本にもテルテル坊主があったけど、テルテル坊主が動き出すとどんな事件になるのかなぁ・・・などと思わせる楽しい人形アニメです。

★この作品を見るには
VHS:Vol 3 チェコ・アニメーション 発売元 レーザー・ディスク㈱ 

DVD:ヘルミナ・テルロバ「結んだハンカチ」その他の短編集 発売元 コロンビア

上の二つの作品は、ともに子どもから大人までが楽しめます。


ヘルミナ・ティルロヴァ Hermina Tyrlova(1900~)
 ヘルミナ・ティルロヴァ は、チェコアニメーション創始者カレル・ドダルの妻だそうですが、それよりもなによりも、子どもたちのために斬新なスタイルでアニメーションを作り出した巨匠として知られています。 彼女は、伝統的な人形アニメなどにこだわらず、おもちゃ、毛糸玉や銀紙、木片、ハンカチ、タオル、などといった子どもの周辺に身近にあるものを活用して優れた作品をいくつも作り出しています。
 戦時中の1941年に人形アニメーション『われら蟻族(アリのフェルダ)』の制作で、アニメ作家としてスタートしています。(有)


「こんにちは チェブラーシカ」20分 
1969年  ロシア(旧ソビエト時代の作品)  監督 ロマン・カチャーノフ


1969年から数年に渡って製作されたパペット(人形)アニメーション。シリーズ4本がある。人形のかわいらしく、かつ緻密で細やかであたたかい独特な動きがすばらしい。


★子どもたちへの愛情に溢れた作品。動物園の動物たちが勤め人(公務員?)という発想が面白い。人間を見る目のあたたかさの一方で、何事ルーズで停滞しがちな社会への批判。鋭い社会風刺ともなっています。
★チェブラーシカの名は冒頭のシーンで名づけられますが、「ぱったり倒れる」という意味を持つ「チェブラハッツァ」(чебурахаться)から来ているそうです。ロシアでは人気のキャラクターで、2004年のアテネオリンピックでロシア選手団の公式キャラクターに採用されました。
★ロシアの児童文学家、エドゥアルド・ウスペンスキーによるシリーズもの絵本に登場する猿ともクマとも思えぬ正体不明のキャラクター。相手役のワニのゲーナが、とても魅力的です。 (有)

幼い子どもといっしょに、家族で楽しめます。
★この作品を見るには

DVD:「チェブラーシカ」発売元 ㈱フロンティアワークス

ロマン・カチャーノフ監督  1921年、ロシア共和国(当時、ソビエト連邦)生まれ。
旧ソ連全盛期に活躍したアニメーション監督の巨匠。46年に連邦動画スタジオ(ソユーズ・ムリトフィルム=)に入る。彼の後輩に、現代の巨匠ユーリー・ノルシュテインがいます。

ソユーズムリトフィルム
 1935年にソ連邦立の最初のアニメ・スタジオとして設立。スタジオの代表作品に、1947年初の長編アニメ「イワンと仔馬」、1957年に「雪の女王」など。現在もロシア最大のアニメーション・スタジオとして知られています。