2007年9月19日水曜日

坊さんと魚 625秒 1994 オランダ・仏合作                                監督 マイケル・デュドク・ドウ・ヴィット(オランダ人)                     広島アニメ映画祭ヒロシマ賞
使用曲 アルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli 1653-1713)作曲  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第12番ニ短調「ラ・フォリア(La follia)」[主題と23の変奏]

★魚を捕まえようと、日夜寝食も忘れて、やっきになるお坊さんの姿を描く不思議な世界。「岸辺のふたり」マイケル・デュドウ・ドゥ・ヴィッド監督の出世作。
★ 夢中になる対象と度合いに違いはあるだろうが、すべてを忘れて夢中になれる相手を得たということは、人間だれにでも身に覚えがあることで、とても幸せなことかも知れない。不思議な幸福感に包まれる。
★ やわらかな線で構成された単純な形が、アニメーター(マイケル監督)の緻密な計算によって“動き”を与えられ、実に豊かな表現力を持って楽しませてくれる。アニメーションが“動き=視覚化された音楽(時間)”の表現芸術であることを思い起こさせる傑作。イタリアが生んだ最初のヴァイオリン音楽の巨匠コレッリ(1653-1713)の古典的名曲が、マイケル監督の世界に完全に生まれ変わってしまった。
 “大人の作品”などといわず、子どもたちといっしょに豊かな時間をすごそう。
★ DVD:「プチシアター №2」 販売元:オフィスH 

岸辺のふたり 8分 2000年 オランダ・イギリス合作

監督 マイケル・デュドク・ドウ・ヴィット(オランダ人)
米アカデミー賞、広島アニメ映画祭グランプリ 他多数
音楽監督 ノルマン・ロジェ  ドゥニ・シャルラン
使用曲 ドナウ川の小波(ヨシフ・イヴァノ・ヴィッチ作曲)

★ 自転車でやってきた父と娘、大河の岸辺に立って別れる。以来、娘はおなじ岸辺に繰り返し立って、父を想い老いて行く。たった8分で、めぐり行く人生の重さ、人間の愛情の深さを描ききった名作。
  ヨーロッパの国々は、ドナウ、ライン、エルベなどの大河で国境や言葉や文化を分け、数知れない政争や紛争や戦争を繰り返して来た。その都度、幾多の隣人同士が、家族が、恋人たちが分断され、別れを余儀なくされてきたのであろうか・・・。そんな思いを後に残す8分の大作。

★ 「坊さんと魚」と同じマイケル監督作品。この作品でも、線や形は水墨画のように思いっきり単純化されています。白と黒、その単純化が、観る者の想像力を最大限に引き出すことに成功しています。的確で無駄のない“動き”。たった一本の線で大河の流れを表現し、自転車のこぎ方でこぎ手の年齢を表現しきる才能と技術がものすごいです。

子どもたちにはちょっと難しいかもしれない。なぜ? どうしたの?などの質問があいつぎ出るでしょう。しかし、きっと心に響くはず。

★ DVD:「岸辺の二人」 販売元:東芝EMI㈱


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